垣志津馬に、みんな取られることになる。で二人ながら注意して死なないようにしなければならない。葉末さんが二十歳になる前に、琢磨氏は誰とも結婚出来ない。もし琢磨氏が結婚すれば、財産は葉末さんと花垣とで、折半をして取ってしまう。ところで一方葉末さんとしては、満二十歳になった瞬間《とき》、ぜひ誰かと結婚しなければならない。もしその時結婚すれば、財産は葉末さんと琢磨氏とで、折半をして取ることが出来る。……しかるに一方花垣としては、葉末さんが二十歳になる前に、葉末さんを殺すか琢磨氏を殺すか、ないしは二人を一緒に殺すか、とにかくなきものにしなければならない。そうしてそれに成功すれば、財産はすっかり手にはいる。が、もしそれが出来なければ、何者か美人を差し向けて、三蔵琢磨氏を誘惑し、ぜひとも結婚させなければならない。そうしてそれに成功すれば、全財産の半分だけを、自分の手中に入れることが出来る。そこで花垣志津馬ですが、一方島子という自分の情婦を、琢磨氏の家へ入り込ませ、琢磨氏を誘惑させたそうです。大変もない美人だったので、琢磨氏も随分そそのかされ、あぶない時などもあったそうですが、とうとう誘惑に勝ったそう
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