の時ハッと気が付いて行く手の空を眺めて見た。彼を導く大烏の姿が遙か彼方《むこう》の空の涯《はて》を今にも消えそうに翔けている。
「あ、しまった! 見失ってしまう!」
 ジョン少年は吃驚《びっくり》したが、急いで舟をグルリと廻すと、島を見捨てて漕ぎ出した。尚後ろからは子供達の唄う楽しそうな歌声が聞こえて来る。それは誘惑の声である。しかしもはやジョン少年は心を乱そうとはしなかった。ただ一心に漕ぎ進んだ。
 随分久しく漕いだので大分腕が疲労《つか》れて来た。その時行く手に陸が見えた。そうして烏はその陸を目がけ静かに静かに舞って行く。
 ようやく岸へ漕ぎつけて見ると、烏の姿がどこにも見えない。
「あ、とうとう見失ってしまった」ひどく落胆したものの、またこうも思って見た。「つまり烏はこの陸地まで、僕を案内して来たのかもしれない。物語の中の宝物は、この陸のどこかにあるのかもしれない」
 岸の木立ちへ藤蔓で舟をしっかり繋《つな》いでから、ジョン少年は上陸した。そうして奥の方へ歩いて行った。

        二十三

 間もなく一つの河へ来た。河岸に乞食《こじき》が転がっている。老い衰えた土人乞食で
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