不思議なのだ」ジョン少年がこう云った。
「ナーニ、ちっとも不思議じゃないよ」日出夫は笑って反対した。「要するにそれは蜃気楼《しんきろう》さ」
「蜃気楼だって? そんな筈はない。確かに僕は見たんだからね」
「でも、上陸はしなかったんだろう」
「ああ上陸はしなかった。少し先を急いだものだから」
「では確かに島があったと断言することは出来ないじゃないか」
「しかし、確かに見たんだからね」
「人間の眼というものは、案外アテにならないものでね」
「それに僕は歌声を聞いたよ。沢山の子供達が輪を作って、『いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい、夢の島絵の島お伽噺《とぎばなし》の島、いらっしゃい、いらっしゃい、いらっしゃい』ッてね、声を揃えて唄っているのを、僕はハッキリ聞いたんだが、これもやはり蜃気楼《しんきろう》かしら?」
「いやそれは空耳だよ。でなけれは聞き間違いだよ。潮の音か風の音かが、そんなように聞こえたのさ」
「でも繰り返して聞こえたがな」
「人間の耳というものは案外アテにならないものでね」日出夫は自説を曲げなかった。
ややあってジョンはまた云った。「君は伝説を信じるかね?」
「それは伝
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