も……真似て……にぎやかに……遊ぶのです……踊りがうまいのです。妾悲しゅうございました。どこかで見て来ては……一人で一生懸命踊ります……そして自分でも泣いています……」
「やはり朝鮮人だと云って外でいじめられるからでしょうか?」
「だが今は泣きません」彼女は力をこめて強く打消した。
「春雄は内地人テ[#「テ」に傍点]す……春雄はそう思っています……あの子は妾の子ではありません……それを……先生が邪魔するのは……妾悪いと思います……」
「私は半兵衛さんも南朝鮮で生れたというふうに聞いているのですが……」
「え……そうです……母が私のように朝鮮人でした。……だが今は……朝鮮といえば言葉だけでも……あの人はオコリます……」
「だけど春雄君は朝鮮人の私に非常になついて来ました。実は昨夜あの子は私の部屋で泊って行ったのです」
「…………」
「その中にあの子供のあなたに対する態度もだんだん変って行くだろうと思うのです」それから励ますように云い張った。「きっと近い中に春雄はあなたに対する愛情をよび返すでしょう。春雄が私になついて来たことはあながち私に対する愛情からだけではなく、実はあなたに対する愛の
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