因にこの画は十年程前、仏国の美術館に懸けられてあつたが、盗まれて、数年|行衛《ゆくゑ》が解らなくなつてゐた。当事はイタリーあたりの未来派あたりの人のした事かなどといふ噂があつたがやはり盗人の仕業で後売りに出たのですぐつかまつて、今は又仏国の美術館に帰つてゐるが、その事を聞いた時は余も実に安心したのであつた。
大分、モナリザの事をかいたが、今度は東洋画の李竜眠の婦人の素描《すがき》の事にうつらう。(しかし、もう大分長くなつたし、〆切も切れたからそれは又次号からはじめる事として今日はこれで一区切つけておかうと思ふ。)
底本:「日本の名随筆23 画」作品社
1984(昭和59)年9月25日第1刷発行
1991(平成3)年10月20日第12刷発行
底本の親本:「岸田劉生全集 第三巻」岩波書店
1979(昭和54)年8月発行
※「ジヨコンド」と「ヂヨコンド」、「ギリシヤ」と「ギリシア」の混在は底本通りにしました。
入力:加藤恭子
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年5月3日作成
青空文庫作成ファイル:
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