としたものに少し色をつけるものをやってみたい。しかし、どういう風な描き方でなくてはいけないという事は決していえるものではない。さっき、写実の道としてけなした、日本画の西洋画のような描力にしても、すでにそういう美術品要素が出来《しゅったい》した以上、今日ではそれは下らないものだが内容さえよく、そしてぴったりすれば、その描方でもあるいは生かす事が出来よう。尤もかなりなまぬるい感じの画品だが、しかしそれにある美の内容がもしあればそれは生きる事が出来る。ただ無理にそれに内容を合わす必要はなく、そんな事をする事はすでに内容が死んでいる証拠である。
要するに、結局は今日の日本画は殆ど凡《すべ》て駄目、今日の日本画家の大半は西洋画にうつるべし、さもなければ通俗作家たれ。日本画は日本人の美の内容をもてる一つの技法としてのこり、装飾想像の内容を生かす道となり、そういう個性によりて今後永久に生かされるべし。以上。
底本:「岸田劉生随筆集」岩波文庫、岩波書店
1996(平成8)年8月20日第1刷発行
初出:「国粋 第二号」
1920(大正9)年11月
※底本では題名の「想像」に「イマジネ
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