》して貧乏人となし、これに反しこの線以上に位しそれ以上の所得を有しいる者は、これを貧乏人にあらざる者と見なすのである。[#地から1字上げ](九月一四日)
一の四
私はすでに貧乏線の何ものたるやを説明し、従うてまた第三の意味における貧乏人の何ものたるやも一応は説明したわけである。しかしまだその話を続けなければならぬというのは、貧乏線以上にある者とそれ以下にある者とのほかに、あたかもその線の真上に乗っている者があるからである。ここにあたかも貧乏線の真上に乗っている者というのは、その収入がまさに前回に述べたる生活必要費の最下限に相当しつつある者の謂《いい》である。従うてこれらの輩は、その収入の全部をばあげて肉体の健康を維持するの用途にのみあつるならば、かろうじて栄養不足に陥ることを免るれども、もしこれと異なり、少しにてもその収入をば肉体の健康を維持するの目的以外に費やすならば、それだけ食費その他の必要費に不足を生じ、その健康をそこのうことになるのである。言うまでもなく、肉体の健康を維持する費用のみがわれわれの生活に必要な費用の全部ではない。たとえば衣服にしても、職業の種類
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