ニの開戦以後は、戦時においてもまたいまだその例を見たることなき莫大《ばくだい》の歳出を調理するの余儀なきに至ったが、その後軍需品の供給を豊富にすることの当面の大問題となるに及ぶや、転じて新設の軍需大臣となり、今やまた元帥キッチナーの薨《こう》ずるや、職工の親方といわれていた彼は、文官の出身をもってこの大戦に際し陸軍大臣の要職につくに至ったのである。
 ロイド・ジョージはとうとう陸軍大臣になった。しかし彼にとっては、ドイツとの戦争以上の大戦争があるはずである。たといドイツを屈服させ終わるとも、彼は戦後において、その戦前より企てし貧困に対する大戦争をば、さらにいっそうの勇気をもって続けねばなるまい。戦時においても平時においても彼は永久に軍務大臣たるべき人である。[#地から1字上げ](大正五年七月十四日)

       二の一

 ロイド・ジョージはとうとう総理大臣になった。
 私は彼が陸軍大臣となった時、――弁護士の出身をもって、未曾有《みぞう》の大戦に当たり、この要職に任ぜられた時、――彼についてすでに一文を草したが、今総理大臣となると聞くに及び、重ねてこの一文をしるすことを禁じ得ぬ。

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