トいたが、その田舎娘はとうとういちばん高い化粧品を買って帰った。いわゆる夏日は流汗し冬日は亀手《きしゅ》する底《てい》の百姓の娘が美顔料など買って行く愚かさもさることながら、私はかかる貧乏人の無知なる女を相手に高価なぜいたく品を売り付けて金もうけすることも、ずいぶん罪の深い仕事だと感じた。
友人の話というはただこれだけの事である。そうして私はこれ以上具体的の話をするつもりはないが、ただひそかに考うるに、いかに営業の自由を原則とする今の世の中とはいえ、農工商いずれの産業に従事するものたるを問わず、すべて生産者にはおのずから一定の責任があるべきはずだと思う。
私は金もうけのために事業を経営するのを決して悪い事だと言うのではない。多くの事業はいかなる人がいかなる主義で経営しても、少なくとも収支の計算を保って行く必要がある。損をしながら事業を継続するという事は、永続するものではない。それゆえ私は決して金もうけが悪いとは言わぬ。ただ金もうけにさえなればなんでもするという事は、実業家たる責任を解せざるものだ、と批評するだけの事である。少なくとも自分が金もうけのためにしている仕事は、真実世間の人
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