キ。[#地から1字上げ](十二月二十一日)
十二の六
だれも長生きがしたいがために、肥ゆれば喜びやすれば悲しむけれども、前回に証明したるごとく、実は太り過ぎているよりもやせている方がはるかに安全なのである。財産もまたかくのごとし。その乏しきこと度に過ぐるはもとより喜ぶべきことにあらざれども、その多きこと度に過ぐるもまたはなはだのろうべきことである。ことに肥えたと言いやせたと言うもからだだけのことならばその差もおおよそ知れたものであるが、貧富の差になると、すでに上編に述べたるごとく、今日は実に驚くべき懸隔を示しておるのであるから、経済学者という医者の目から見ると、貧の極におる人も、富の極におる人も、いずれも瀕死《ひんし》の大病人なのである。たとうれば、今日の貧乏人は骨と皮とになって、血液もほとんどかれ果てたる病人のごときもので、しかもそういう病人の数が非常に多いのである。しかし金持ちはまた太って太ってすわれもせず歩けもせず、顔を見れば肉が持ち上がって目も口もつぶれてしまい、心臓も脂肪のためにおさえられてほとんど鼓動を止めおるがごとき病状にあるものである。貧乏人に比ぶれ
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