世界経済界の至る所に、各種の事業を通じて、あまねく行なわれつつあるを看取するに難からぬであろう。これ有力なる機械の発明されたる今日、貧乏に苦しむ者のなお四方にあまねきゆえんである。[#地から1字上げ](十月十九日)
七の四
私は前回に縁の遠い英国の靴《くつ》製造業の事など持ち出して、しばらく問題を当面の日本から遠ざけておいたが、実は手近な所にも、同じように明瞭な実例がたくさんある。たとえば近ごろわが国に行なわれた米価調節なるものがそれである。米がたくさんできるということは実によろこばしい事で、現にこれがためには全国各府県に農事試験場などを設けてしきりにその生産増加を奨励しているのである。しかるにたくさんできると値段が安くなる。しかも安くなっては農家のもうけが減るというので、政府はいろいろに骨を折って、今度は米価をつり上げるくふうをしている。一方には日々の米代の支払いにも困っている者がたくさんある。腹一杯米の飯をよう食わぬ者もおおぜいいる。それに政府は、米の値段を高くするために、委員会などを設け、天下の学者実業家を寄せ集めて、いろいろと骨を折らねばならぬというのである
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