。
後悔しない心、それが欲しいのだ。色々と思ひまはした末に茲《こゝ》まで来ると、彼はそこに生き甲斐のない自分を見出だした。敗亡の苦い淋しさが、彼を石の枕でもしてゐるやうに思はせた。彼の心は本当に石ころのやうに冷たく、冷えこむ冬の夜寒の中にこちん[#「こちん」に傍点]としてゐた。
[#地から1字上げ](大正三年四月)
底本:「現代文学大系22 有島武郎集」筑摩書房
1964(昭和39)年11月25日初版第1刷発行
1969(昭和44)年3月10日初版第10刷発行
初出:「白樺」
1914(大正3)年4月
入力:さくらいゆみこ
校正:浅原庸子
2004年2月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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