をえない。同時に三上氏もその詰問を他人に対して与えた以上は自分の立場についても立つべき所を求めなければならぬともおもう。すでに求め終わっているのなら幸甚である。
A兄
くたびれたろうな。もう僕も饒舌《じょうぜつ》はいいかげんにする。兄は僕が創作ができないのをどうしたというが、あの「宣言一つ」一つを吐き出すまでにもいいかげん胸がつかえていたのでできなかったのだ。僕の生活にも春が来たらあるいは何かできるかもしれない。反対にできないかもしれない。春が来たら花ぐらいは咲きそうなものだとは思っているが。
底本:「惜しみなく愛は奪う」角川文庫、角川書店
1969(昭和44)年1月30日改版初版
1979(昭和54)年4月30日発行改版14版
初出:『我等』大正11年3月
入力:鈴木厚司
1999年2月13日公開
2005年11月20日修正
青空文庫作成ファイル:
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