思うところを述べるのは許されることだと思う。私の態度を憎むものは、私の意見を無視すればそれで足りる。けれども私は私自身を無視しはしない。
 教育というものに就《つ》いても、私はここでいうべき多くを持っている。然し聡明な読者は、私が社会生活の部門について述べて来たところから、私が教育に対して何をいおうとするかを十分に見抜いていられると思う。私は徒《いたず》らな重複を避けなければならない。然しここにも数言を費すことを許されたい。
 子供は子供自身の為めに教育されなければならない。この一事が見過されていたなら教育の本義はその瞬間に滅びるのみならず、それは却って有害になる。社会の為めに子供を教育する――それは驚くべく悲しむべき錯誤である。
 仕事に勤勉なれと教える。何故正しき仕事を選べと教えないのか。正しい仕事を選び得たものは懶惰《らんだ》であることが出来ないのだ。私は嘗て或る卒業式に列した。そこの校長は自分が一度も少年の時期を潜《くぐ》りぬけた経験を持たぬような鹿爪《しかつめ》らしい顔をして、君主の恩、父母の恩、先生の恩、境遇の恩、この四恩の尊さ難有《ありがた》さを繰返し繰返し説いて聞かせた
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