する。愛という世界は何といういい世界だろう。そこでは白昼に不思議な魔術が絶えず行われている。それを見守ることによって私は凡ての他の神秘を忘れようとさえする。私はこの賜物一つを持ち得ることによって、凡ての存在にしみじみとした感謝の念を持たざるを得ない。
愛は与える本能をいうのだと主張する人は、恐らく私のこの揚言を聞いて哂《わら》い出すだろう。お前のいうことは夙《とう》の昔に私が言い張ったところだ。愛は与えることによって二倍する、その不思議を知らないのか。愛を与えるものは与えるが故に富み、愛を受けるものは受けるが故に富む。地球が古いほど古いこの真理をお前は今まで知らないでいたのか、と。
私はそれを知らないではない。然し私はその提言には一つの条件を置く必要を感ずる。愛が与えることによって二倍するという現象は、愛するものと愛せられたるものとの間に愛が相互的に成り立った場合に限るのだ。若《も》しその愛が完全に受け取られた場合には、その愛の恵みは確かに二倍するだろう。然し愛せられるものが愛するもののあることを知らなかった時はどうだ。或はそれを斥《しりぞ》けた時はどうだ。それでも愛は二倍されてい
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