を霰《あられ》まじりの粉雪がさーっと来ては過ぎ、過ぎては来る。君たちは手袋を脱ぎ去った手をまっかにしながら、氷点以下の水でぐっしょり[#「ぐっしょり」に傍点]ぬれた配縄をその一端からたぐり上げ始める。三間四間置きぐらいに、目の下二尺もあるような鱈《たら》がぴちぴちはねながら引き上げられて来る。
三十町に余るくらいな配縄をすっかりたくしこんでしまうころには、海の上は少し墨汁《ぼくじゅう》を加えた牛乳のようにぼんやり[#「ぼんやり」に傍点]暮れ残って、そこらにながめやられる漁船のあるものは、帆を張り上げて港を目ざしていたり、あるものはさびしい掛け声をなお海の上に響かせて、忙《せわ》しく配縄《はいなわ》を上げているのもある。夕暮れに海上に点々と浮かんだ小船を見渡すのは悲しいものだ。そこには人間の生活がそのはかない末梢《まっしょう》をさびしくさらしているのだ。
君たちの船は、海風が凪《な》ぎて陸風に変わらないうちにと帆を立て、艪《ろ》を押して陸地を目がける。晴れては曇る雪時雨《ゆきしぐれ》の間に、岩内《いわない》の後ろにそびえる山々が、高いのから先に、水平線上に現われ出る。船歌をうたいつれ
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