また尽きて行く。そうするとまた死の目の色を見すまして、死のほうにぬすみ足で近寄って行く。ある者は死があまり無頓着《むとんじゃく》そうに見えるので、つい気を許して少し大胆に高慢にふるまおうとする。と鬼一口だ。もうその人は地の上にはいない。ある者は年とともにいくじがなくなって行って、死の姿がいよいよ恐ろしく目に映り始める。そしてそれに近寄る冒険を躊躇《ちゅうちょ》する。そうすると死はやおら物憂《ものう》げな腰を上げて、そろそろとその人に近寄って来る。ガラガラ蛇《へび》に見こまれた小鳥のように、その人は逃げも得しないですくんでしまう。次の瞬間にその人はもう地の上にはいない。人の生きて行く姿はそんなふうにも思いなされる。実にはかないともなんとも言いようがない。その中にも漁夫の生活の激しさは格別だ。彼らは死に対してけんかをしかけんばかりの切羽《せっぱ》つまった心持ちで出かけて行く。陸の上ではなんと言っても偽善も弥縫《びほう》もある程度までは通用する。ある意味では必要であるとさえも考えられる。海の上ではそんな事は薬の足《た》しにしたくもない。真裸な実力と天運ばかりがすべての漁夫の頼みどころだ。その
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