り」に傍点]した感じに襲われて来た。
 君はもう一度君の父上のほうを見た。父上は舵座にすわっている。しかしその姿は前のように君になんらの迫った感じをひき起こさせなかった。
 やがて船底にじゃりじゃり[#「じゃりじゃり」に傍点]と砂の触れる音が伝わった。船は滞りなく君が生まれ君が育てられたその土の上に引き上げられた。
 「死にはしなかったぞ」
と君は思った。同時に君の目の前は見る見るまっ暗になった。‥‥君はそのあとを知らない。

       七

 君は漁夫たちとひざをならべて、同じ握り飯を口に運びながら、心だけはまるで異邦人のように隔たってこんなことを思い出す。なんという真剣なそして険しい漁夫の生活だろう。人間というものは、生きるためには、いやでも死のそば近くまで行かなければならないのだ。いわば捨て身になって、こっちから死に近づいて、死の油断を見すまして、かっぱらい[#「かっぱらい」に傍点]のように生の一片をひったくって逃げて来なければならないのだ。死は知らんふりをしてそれを見やっている。人間は奪い取って来た生をたしなみながらしゃぶる[#「しゃぶる」に傍点]けれども、ほどなくその生は
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