りながら、船から二三段隔たった水の中にざぶり[#「ざぶり」に傍点]と落ちた。漁夫たちはそのほうへ船を向けようとひしめいた。第二の爆声が聞こえた。縄はあやまたず船に届いた。
二三人の漁夫がよろけころびながらその縄のほうへ駆け寄った。
音は聞こえずに烽火《のろし》の火花は間を置いて怪火のようにはるかの空にぱっと咲いてはすぐ散って行く。
船は縄に引かれてぐんぐん陸のほうへ近寄って行く。水底が浅くなったために無二無三に乱れ立ち騒ぐ波濤《はとう》の中を、互いにしっかり[#「しっかり」に傍点]しがみ合った二|艘《そう》の船は、半分がた水の中をくぐりながら、半死のありさまで進んで行った。
君は始めて気がついたように年老いた君の父上のほうを振り返って見た。父上はひざから下を水に浸して舵座《かじざ》にすわったまま、じっ[#「じっ」に傍点]と君を見つめていた。今まで絶えず君と君の兄上とを見つめていたのだ。そう思うと君はなんとも言えない骨肉の愛着にきびしく捕えられてしまった。君の目には不覚にも熱い涙が浮かんで来た。君の父上はそれを見た。
「あなたが助かってよござんした」
「お前が助かってよかった
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