はっきり[#「はっきり」に傍点]君の目に映った。「死にはしないぞ」――それを見るにつけても、君はまたしみじみとそう思った。
 こういう必死な努力が何分続いたのか、何時間続いたのか、時間というもののすっかり[#「すっかり」に傍点]無くなってしまったこの世界では少しもわからない。しかしながらとにかく君が何ものも納《い》れ得ない心の中に、疲労という感じを覚えだして、これは困った事になったと思ったころだった、突然一人の漁夫が意味のわからない言葉を大きな声で叫んだのは。今まででも五人が五人ながら始終何か互いに叫び続けていたのだったが、この叫び声は不思議にきわ立ってみんなの耳に響いた。
 残る四人は思わず言い合わせたようにその漁夫のほうを向いて、その漁夫が目をつけているほうへ視線をたどって行った。
 船! ‥‥船!
 濃い吹雪《ふぶき》の幕のあなたに、さだかには見えないが、波の背《そびら》に乗って四十五度くらいの角度に船首を下に向けながら、帆をいっぱいに開いて、矢よりも早く走って行く一|艘《そう》の船!
 それを見ると何かが君の胸をどきん[#「どきん」に傍点]と下からつき上げて来た。君は思わずすす
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