と君の父上は心から嘆息してつぶやきながら君に命じて配縄《はいなわ》を切ってしまった。
 海の上はただ狂い暴《あ》れる風と雪と波ばかりだ。縦横に吹きまく風が、思いのままに海をひっぱたくので、つるし上げられるように高まった三角波が互いに競って取っ組み合うと、取っ組み合っただけの波はたちまちまっ白な泡《あわ》の山に変じて、その巓《いただき》が風にちぎられながら、すさまじい勢いで目あてもなく倒れかかる。目も向けられないような濃い雪の群れは、波を追ったり波からのがれたり、さながら風の怒りをいどむ小悪魔のように、面憎《つらにく》く舞いながら右往左往に飛びはねる。吹き落として来た雪のちぎれ[#「ちぎれ」に傍点]は、大きな霧のかたまり[#「かたまり」に傍点]になって、海とすれすれに波の上を矢よりも早く飛び過ぎて行く。
 雪と浸水《あか》とで糊《のり》よりもすべる船板の上を君ははうようにして舳《へさき》のほうへにじり寄り、左の手に友綱の鉄環《かなわ》をしっかり[#「しっかり」に傍点]と握って腰を据《す》えながら、右手に磁石をかまえて、大声で船の進路を後ろに伝える。二人の漁夫は大竿《おおざお》を風上に
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