なにもがいてみてもまだまだほんとうに自分の所有を見いだす事ができないで、ややもするとこじれた反抗や敵愾心《てきがいしん》から一時的な満足を求めたり、生活をゆがんで見る事に興味を得ようとしたりする心の貧しさ――それが私を無念がらせた。そしてその夜は、君のいかにも自然な大きな生長と、その生長に対して君が持つ無意識な謙譲と執着とが私の心に強い感激を起こさせた。
次の日の朝、こうしてはいられないと言って、君はあらしの中に帰りじたくをした。農場の男たちすらもう少し空模様を見てからにしろとしいて止めるのも聞かず、君は素足にかちんかちん[#「かちんかちん」に傍点]に凍った兵隊|長靴《ながぐつ》をはいて、黒い外套《がいとう》をしっかり[#「しっかり」に傍点]着こんで土間に立った。北国の冬の日暮らしにはことさら客がなつかしまれるものだ。なごりを心から惜しんでだろう、農場の人たちも親身《しんみ》にかれこれと君をいたわった。すっかり[#「すっかり」に傍点]頭巾《ずきん》をかぶって、十二分に身じたくをしてから出かけたらいいだろうとみんなが寄って勧めたけれども、君は素朴《そぼく》なはばかりから帽子もかぶらずに
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