《こだま》になって、二重にも三重にも聞こえて来た。
もう自然はもとの自然だった。いつのまにか元どおりな崩壊したようなさびしい表情に満たされて涯《はて》もなく君の周囲に広がっていた。君はそれを感ずると、ひたと底のない寂寥《せきりょう》の念に襲われだした。男らしい君の胸をぎゅっ[#「ぎゅっ」に傍点]と引きしめるようにして、熱い涙がとめどなく流れ始めた。君はただひとり真夜中の暗やみの中にすすり上げながら、まっ白に積んだ雪の上にうずくまってしまった、立ち続ける力さえ失ってしまって。
九
君よ!![#「!!」は横一列、第3水準1−8−75、96−4]
この上君の内部生活を忖度《そんたく》したり揣摩《しま》したりするのは僕のなしうるところではない。それは不可能であるばかりでなく、君を涜《けが》すと同時に僕自身を涜す事だ。君の談話や手紙を総合した僕のこれまでの想像は謬《あやま》っていない事を僕に信ぜしめる。しかし僕はこの上の想像を避けよう。ともかく君はかかる内部の葛藤《かっとう》の激しさに堪えかねて、去年の十月にあのスケッチ帳と真率な手紙とを僕に送ってよこしたのだ。
君よ。
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