遠い末梢《まっしょう》に、感ぜられるともなく感ぜられるばかりだった。すべての現象がてんでんばらばらに互いの連絡なく散らばってしまった。その中で君の心だけが張りつめて死のほうへとじりじり深まって行こうとした。重錘《おもり》をかけて深い井戸に投げ込まれた灯明のように、深みに行くほど、君の心は光を増しながら、感じを強めながら、最後には死というその冷たい水の表面に消えてしまおうとしているのだ。
君の頭がしびれて行くのか、世界がしびれて行くのか、ほんとうにわからなかった。恐ろしい境界に臨んでいるのだと幾度も自分を警《いまし》めながら、君は平気な気持ちでとてつ[#「とてつ」に傍点]もないのんきな事を考えたりしていた。そして君は夜のふけて行くのも、寒さの募るのも忘れてしまって、そろそろと山鼻のほうへ歩いて行った。
足の下遠く黒い岩浜が見えて波の遠音が響いて来る。
ただ一飛びだ。それで煩悶《はんもん》も疑惑もきれいさっぱり帳消しになるのだ。
「家《うち》の者たちはほんとうに気が違ってしまったとでも思うだろう。‥‥頭が先にくだけるかしらん。足が先に折れるかしらん」
君はまたたきもせずにぼんやり
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