章のみ。文章は畢竟《ひっきょう》彼において何するところぞ。我れついに断じて窓を閉ず。翌、かの狗子《くし》命を我が窓下に絶ちぬ。
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ああ何んぞ独《ひと》り狗子を言わんや。自然の物を遇するすべてまさにこのごとし。我が茅屋の中つねにかの狗子にだに如《し》かざるものを絶たず。日夜の哭啾《こくしゅう》聞こえざるに聞こゆ。筆を折って世とともに濁波を挙げて笑いかつ生きんとしたること幾度なりしを知らざるは、たまたま我が耿々《こうこう》の志少なきを語るものにすぎずといえども、あるいは少しく兄の憐みを惹《ひ》くものなきにしもあらじ。しかも古人の蹟を一顧すれば、たちまち慚汗《ざんかん》の背に流るるを覚ゆ。貧窮《ひんきゅう》、病弱《びょうじゃく》、菲才《ひさい》、双肩《そうけん》を圧し来って、ややもすれば我れをして後《しり》えに瞠若《どうじゃく》たらしめんとすといえども、我れあえて心裡の牙兵を叱咤《しった》して死戦することを恐れじ。『折焚く柴の記と新井白石』はかろうじて稿を了《おわ》るに近し。試験を終らば兄は帰省せん。もししからば幸いに稿を携《たずさ》え去って、四宮霜嶺先生に示すの機会を
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