》えて、ガラス板を張りつめたように平らに広がっていた。家の中にいても火種の足りない火鉢にしがみついて、しきりに盗風《すきまかぜ》の忍びこむのに震えていなければならぬ清逸にとっては、屋外の寒さもそう気にならなかったが、とにかく冬が紙一重に逼《せま》ってきた山間の空気は針を刺すように身にこたえた。彼は首をすくめ、懐《ふとこ》ろ手をしながら、落葉や朽葉とともにぬかるみになった粘土質の県道を、難渋《なんじゅう》し抜いて孵化場《ふかじょう》の方へと川沿いを溯《さかのぼ》っていった。
風は死んだようにおさまっている。それだのに枝頭を離れて地に落ちる木の葉の音は繁かった。かさこそと雑木の葉が、ばさりと朴《ほう》の木の広葉が、……朴の木の葉は雪のように白く曝《さ》らされていた。
自分の家からやや一町も離れた所まで来ると、清逸は川べりの方に自分で踏みならした細道を見出して、その方へと下りていった。赤に、黄に、紫に、からからに乾いて蝕まれた野葡萄《のぶどう》の葉と、枯|蓬《よもぎ》とが虫の音も絶えはてた地面の上に干からびて縦横に折り重なっていた。常住|湿《しめ》り気の乾ききらないような黒土と混って、大
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