「ちゃん」に傍点]と飾られていた。家の造りや庭の様子などにはかなりの注文も相当の眼識も持ってはいたが、絵画や書の事になると葉子はおぞましくも鑑識の力がなかった。生まれつき機敏に働く才気のお陰で、見たり聞いたりした所から、美術を愛好する人々と膝《ひざ》をならべても、とにかくあまりぼろ[#「ぼろ」に傍点]らしいぼろ[#「ぼろ」に傍点]は出さなかったが、若い美術家などがほめる作品を見てもどこが優《すぐ》れてどこに美しさがあるのか葉子には少しも見当のつかない事があった。絵といわず字といわず、文学的の作物などに対しても葉子の頭はあわれなほど通俗的であるのを葉子は自分で知っていた。しかし葉子は自分の負けじ魂から自分の見方が凡俗だとは思いたくなかった。芸術家などいう連中には、骨董《こっとう》などをいじくって古味《ふるみ》というようなものをありがたがる風流人と共通したようなC取りがある。その似而非《えせ》気取りを葉子は幸いにも持ち合わしていないのだと決めていた。葉子はこの家に持ち込まれている幅物《ふくもの》を見て回っても、ほんとうの値打ちがどれほどのものだかさらに見当がつかなかった。ただあるべき所にそ
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