いたのかと思うと、葉子はもう胸が逼《せま》って目の中が熱くなるのだった。
 「さあ二人《ふたり》でこの間学校で習って来たダンスをして古藤さんと倉地さんとにお目におかけ。ちょっとコティロン[#底本では「コテイロン」]のようでまた変わっていますの。さ」
 二人は十畳の座敷のほうに立って行った。倉地はこれをきっかけ[#「きっかけ」に傍点]にからっ[#「からっ」に傍点]と快活になって、今までの事は忘れたように、古藤にも微笑を与えながら「それはおもしろかろう」といいつつあとに続いた。愛子の姿を見ると古藤も釣《つ》り込まれるふうに見えた。葉子は決してそれを見のがさなかった。
 可憐《かれん》な姿をした姉と妹とは十畳の電燈の下に向かい合って立った。愛子はいつでもそうなようにこんな場合でもいかにも冷静だった。普通ならばその年ごろの少女としては、やり所もない羞恥《しゅうち》を感ずるはずであるのに、愛子は少し目を伏せているほかにはしらじらとしていた。きゃっ[#「きゃっ」に傍点]きゃっとうれしがったり恥ずかしがったりする貞世はその夜はどうしたものかただ物憂《ものう》げにそこにしょんぼり[#「しょんぼり」に傍
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