そう唾《つば》でも吐き捨てるようにいまいましげに倉地があらわ[#「あらわ」に傍点]にいうような日も来た。
「どうすればいいんだろう」
そういって額《ひたい》の所に手をやって頭痛を忍びながら葉子はひとり苦しまねばならなかった。
ある日葉子は思いきってひそかに医師を訪れた。医師は手もなく、葉子のすべての悩みの原因は子宮|後屈《こうくつ》症と子宮内膜炎とを併発しているからだといって聞かせた。葉子はあまりにわかりきった事を医師がさも知ったかぶりにいって聞かせるようにも、またそののっぺりした白い顔が、恐ろしい運命が葉子に対して装うた仮面で、葉子はその言葉によってまっ暗な行く手を明らかに示されたようにも思った。そして怒りと失望とをいだきながらその家を出た。帰途葉子は本屋に立ち寄って婦人病に関する大部な医書を買い求めた。それは自分の病症に関する徹底的な知識を得ようためだった。家に帰ると自分の部屋《へや》に閉じこもってすぐ大体を読んで見た。後屈症は外科手術を施して位置|矯正《きょうせい》をする事によって、内膜炎は内膜炎を抉掻《けっそう》する事によって、それが器械的の発病である限り全治の見込み
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