が晴れたと見えて、いかにも屈託なくなって見えた。二人は停車場の付近にある或《あ》る小ぎれいな旅館を兼ねた料理屋で中食《ちゅうじき》をしたためた。日朝《にっちょう》様ともどんぶく[#「どんぶく」に傍点]様ともいう寺の屋根が庭先に見えて、そこから眼病の祈祷《きとう》だという団扇《うちわ》太鼓の音がどんぶく[#「どんぶく」に傍点]どんぶくと単調に聞こえるような所だった。東のほうはその名さながらの屏風山《びょうぶやま》が若葉で花よりも美しく装われて霞《かす》んでいた。短く美しく刈り込まれた芝生《しばふ》の芝はまだ萌《も》えていなかったが、所まばらに立ち連なった小松は緑をふきかけて、八重《やえ》桜はのぼせたように花でうなだれていた。もう袷《あわせ》一枚になって、そこに食べ物を運んで来る女中は襟前《えりまえ》をくつろげながら夏が来たようだといって笑ったりした。
「ここはいいわ。きょうはここで宿《とま》りましょう」
葉子は計画から計画で頭をいっぱいにしていた。そしてそこに用《い》らないものを預けて、江《え》の島《しま》のほうまで車を走らした。
帰りには極楽寺《ごくらくじ》坂の下で二人とも車を捨
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