です」
紹介された倉地は心置きない態度で古藤のそばにすわりながら、
「わたしはたしか双鶴館《そうかくかん》でちょっとお目にかかったように思うが御挨拶《ごあいさつ》もせず失敬しました。こちらには始終お世話になっとります。以後よろしく」
といった。古藤は正面から倉地をじっ[#「じっ」に傍点]と見やりながらちょっと頭を下げたきり物もいわなかった。倉地は軽々しく出した自分の今の言葉を不快に思ったらしく、苦《にが》りきって顔を正面に直したが、しいて努力するように笑顔《えがお》を作ってもう一度古藤を顧みた。
「あの時からすると見違えるように変わられましたな。わたしも日清《にっしん》戦争の時は半分軍人のような生活をしたが、なかなかおもしろかったですよ。しかし苦しい事もたまにはおありだろうな」
古藤は食卓を見やったまま、
「えゝ」
とだけ答えた。倉地の我慢はそれまでだった。一座はその気分を感じてなんとなく白《しら》け渡った。葉子の手慣れたtactでもそれはなかなか一掃されなかった。岡はその気まずさを強烈な電気のように感じているらしかった。ひとり貞世だけはしゃぎ返った。
「このサラダは愛
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