いしかわ》に住んでいる内田はなかなかやって来る様子も見せなかった。
 「痛い痛い痛い……痛い」
 葉子が前後を忘れわれを忘れて、魂をしぼり出すようにこううめく悲しげな叫び声は、大雨のあとの晴れやかな夏の朝の空気をかき乱して、惨《いた》ましく聞こえ続けた。
(後編 了)



底本:「或る女 後編」岩波文庫、岩波書店
   1950(昭和25)年9月5日 第1刷発行
   1968(昭和43)年8月16日 第23刷改版発行
   1998(平成10)年11月16日 第37刷発行
入力:真先芳秋
校正:地田尚
2000年3月1日公開
2001年8月6日修正
青空文庫作成ファイル:
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