せんか、御迷惑ですが。いかがでしょう皆さん(そういって彼ヘ一座を見渡した。あらかじめ申し合わせができていたらしく一同は待ち設けたようにうなずいて見せた)どうじゃろう葉子さん」
葉子は乞食《こじき》の嘆願を聞く女王のような心持ちで、○○局長といわれるこの男のいう事を聞いていたが、財産の事などはどうでもいいとして、妹たちの事が話題に上るとともに、五十川女史を向こうに回して詰問のような対話を始めた。なんといっても五十川女史はその晩そこに集まった人々の中ではいちばん年配でもあったし、いちばんはばかられているのを葉子は知っていた。五十川女史が四角を思い出させるような頑丈《がんじょう》な骨組みで、がっしり[#「がっしり」に傍点]と正座に居直って、葉子を子供あしらいにしようとするのを見て取ると、葉子の心は逸《はや》り熱した。
「いゝえ、わがままだとばかりお思いになっては困ります。わたしは御承知のような生まれでございますし、これまでもたびたび御心配かけて来ておりますから、人様《ひとさま》同様に見ていただこうとはこれっぱかりも思ってはおりません」
といって葉子は指の間になぶっていた楊枝《ようじ》を
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