いた。
木村は痛ましげに黙ったままでしばらく葉子を見やっていたが、
「葉子さん今になってそう泣いてもらっちゃわたしがたまりませんよ。きげんを直してください。またいい日も回って来るでしょうから。神を信ずるもの――そういう信仰が今あなたにあるかどうか知らないが――おかあさんがああいう堅い信者でありなさったし、あなたも仙台時分には確かに信仰を持っていられたと思いますが、こんな場合にはなおさら同じ神様から来る信仰と希望とを持って進んで行きたいものだと思いますよ。何事も神様は知っていられる……そこにわたしはたゆまない希望をつないで行きます」
決心した所があるらしく力強い言葉でこういった。何の希望! 葉子は木村の事については、木村のいわゆる神様以上に木村の未来を知りぬいているのだ。木村の希望というのはやがて失望にそうして絶望に終わるだけのものだ。何の信仰! 何の希望! 木村は葉子が据《す》えた道を――行きどまりの袋小路を――天使の昇《のぼ》り降りする雲の梯《かけはし》のように思っている。あゝ何の信仰!
葉子はふと同じ目を自分に向けて見た。木村を勝手気ままにこづき回す威力を備えた自分はまただ
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