殺しでもするような気負いでずた[#「ずた」に傍点]ずたに引き裂いた。そしてもみくたになった写真の屑《くず》を男の胸も透《とお》れと投げつけると、写真のあたったその所にかみつきもしかねまじき狂乱の姿となって、捨て身に武者ぶりついた。事務長は思わず身を退《ひ》いて両手を伸ばして走りよる葉子をせき止めようとしたが、葉子はわれにもなく我武者《がむしゃ》にすり入って、男の胸に顔を伏せた。そして両手で肩の服地を爪《つめ》も立てよとつかみながら、しばらく歯をくいしばって震えているうちに、それがだんだんすすり泣きに変わって行って、しまいににはさめざめと声を立てて泣きはじめた。そしてしばらくは葉子の絶望的な泣き声ばかりが部屋《へや》の中の静かさをかき乱して響いていた。
 突然葉子は倉地の手を自分の背中に感じて、電気にでも触れたように驚いて飛びのいた。倉地に泣きながらすがりついた葉子が倉地からどんなものを受け取らねばならぬかは知れきっていたのに、優しい言葉でもかけてもらえるかのごとく振る舞った自分の矛盾にあきれて、恐ろしさに両手で顔をおおいながら部屋のすみに退《さが》って行った。倉地はすぐ近寄って来た。葉
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