く会って乗鞍の話を聞こう、また八ヶ岳のよかったことを話そう。帰りに横岳の西側を歩いてみた。雪の着き方が少ないので楽だが、悪場のため、長くは歩けなかった。横岳を過ぎ硫黄岳へ登って、赤岳へ名残りを惜しむ、天気は依然として変らない。スキーを履いてから峠まで、ちょっとのあいだに何度も転ぶ。夏沢温泉へ帰って、すぐ荷物をまとめ、山を下る。アーベント・グリューエンに燃えた八ヶ岳の連峰が、いつまでも見送ってくれていた。

    乗鞍岳

[#ここから18字下げ]
一月五日 晴 番所原八・〇〇 冷泉小屋一二・〇〇−一・〇〇 乗鞍頂上三・〇〇 冷泉小屋四・〇〇
[#ここで字下げ終わり]
 四日の夕方、僕は番所原へやってきた。この日R・C・Cの先輩らが乗鞍の頂上を極めて下ってきたのでメートルを上げる。
 五日は早朝から星が出ていた。しかし今日は冷泉小屋までだと決めていたので、ゆっくり出かける。金山平で松高の人にコースを聞く。鳥居の下の急斜面は雪が固かったので、スキーをぬぐ。冷泉小屋へ行く道と分れるところに赤旗を目標に登るべしと書いてある。赤旗は冷泉小屋に立ててあるのだがよくわからなかった。しかしシュプール
前へ 次へ
全233ページ中96ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
加藤 文太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング