がある。後には大天井が気持のよい頭を見せているし妙見もなかなか大きく見える。大森林の下を通って海抜四一三二尺もある峠へ登った、鳥取営林署、氷ノ山国有林の立札がある。驚いたことには両側の山へ道がついていることだ。これを槍へ登って行くところどころ頂上までの距離を量った杭が打ってある。途中に熔岩のような岩が出ているところへ登ると南を除くすべての眺望が開ける。なお登って槍頂上に着いた。ときに午前九時、頂上は三尺くらいの小さい竹が生えているきりで南には兵庫穂高から焼―乗鞍―御嶽等、西には東山等の鳥取群山、北には扇ノ山―兵庫立山―鷲羽―白馬―大天井等、東には妙見―須留ヶ峯―藤無山等遠く千町ヶ峯やスキーの山段峯までも見えて眺望雄大、鳥取営林署の「火を注意せよ」……等書いた立札が倒れている。二、三の杭には登山者の名前が書いてあり、そこには海抜四九八三尺の綺麗な三角点がある。神戸山岳会会員加藤の杭を打って万歳三唱、雄大な眺望に名残りを惜しみつつ下る。大久保から兵庫大天井へ向って牧場へ行く広い道を登る。がらんとした大きな家を通って八五〇メートル以上の野原に出る。これが夏は牧場、冬はスキー場だ。これを横切っ
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