けられたらしく、今は見あたらない。三ッヶ谷の手前の峰への登りは相当大きなものであった。傾斜のゆるいあいだは階段登りで進んだが、急なところはスキーをぬいで歩いた。空腹と睡眠不足がこたえてきたし、風陰で割合暖かだったので居眠りをしながら登った。
 しかし、この峰の頂きに登った頃はまた物凄く吹雪いてきた。そこからちょっと進んだところで不注意にも雪庇をふみはずして小代谷側へ落ち、ひどく身体を叩き付けられた。高さは四メートルくらいのもので、その下はあまり急でなかったからちょっと流れただけで止った。しかしこの急な雪庇を登るのはつらかった。三ッヶ谷の頂上は長くなっているので、南の方から登って行くとどこが最高点だかわからない。それでも午後六時頃には頂上に立っていた。そして間もなく何度も通ったことのある道を東へ下って行った。ところどころ記憶にあるところが出てくるのでもう大丈夫だと思っていた。ところがそのコルへ下り着いたときは、夜がやってきて地形がまるでわからなくなった。そして記憶に無い長いゆるい斜面が出てきたとき、どうも変だ、間違って小代村へ下りつつあるようだ、と思うようになった。それは周囲の山がすべて
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