へ出合う。この冷沢の落口附近には一ノ瀬、二ノ瀬という、旧道中の一名所であった二つの橋がある。今は新道がずっと北側ばかりを巻いていて、橋も見えないほど谷から離れている。道はやがて四尺幅くらいにせばまり、右側からジメジメした沢や、水の流れている小谷等が二つ三つ入ってくる。そして冷沢から約一時間で栃ノ木山神というところに着く。ここからは殆んど真西に向ってブナとか栃とかの大木の中を相変らず左岸に沿うて登って行く。二時間余も登って行くと左岸、対岸に常念沢が落ち込んでくる。一ノ沢右岸は道のついている左岸に比べるとずっと平凡で、殆んど谷らしい谷が見あたらない。だからこの常念沢は誰がみてもはっきりしていて、よい目標となり、谷のどんづまりの近くなったことを知らせてくれる。もうここまでくると雪が一尺余り積っていて歩行が困難になってきた。これから上は谷もだんだん傾斜が出てきて雪崩や水害の危険が多いように思われる。殊に雪崩は随分大きな奴が出るらしく、最近山友達山野三郎君や有名な山案内人中山彦一君等の生命を奪っている。
常念沢出合から上は左岸より右岸の方が複雑で、谷のどんづまりまでに右岸からは小谷が二本ほど入
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