ょう」
「はばかりさま」
女中は茶盆を持ってお光を案内する。
しばらくすると、奇麗に茶道具を洗い揚げて持って来たが、ニヤニヤと変に笑いながら、「ちょいと、あなたのレコなの?」と女中は小指を出して見せる。
「何が? 馬鹿言え」
「隠したって駄目《だめ》よ。どこの芸者?」
「芸者だ? 馬鹿言え! よその立派な上さんだ」
「とか何とかおっしゃいますね。白粉《おしろい》っけなしの、わざと櫛巻か何かで堅気《かたぎ》らしく見せたって、商売人はどこかこう意気だからたまらないわね。どこの芸者? 隠さずに言っておしまいなさいよ」
「ちょ! 芸者じゃねえってのに、しつこい奴だな」
「まだ隠してるよ! あなたが言わなきゃ俥屋に聞いてやる」
「俥屋が何とか言ってますか?」と背後《うしろ》からお光が入って来た。
「あら!」と女中は真赤になって、「まあ、御免なさいまし。いえね、お尻《いど》を振らずに俥屋は走れないものか、それを聞いて見ようとそう申して……ほほほほ。あなた布団をお敷き遊ばせ」と格《がら》にもない遊ばせ辞《ことば》をてれ隠しに、そのままバタバタと馳《は》せ去ったのである。
「何のことなの? 女中の
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