ないだから、一度向うへ出向こう出向こうとそう思っちゃいるんですけど、ついどうも……何分病人を抱《かか》えてちっとも体が外《はず》せないものですからね」
言われて媼さんは始めて気がついたらしく、「まあ、私としたことが、自分の勝手なことばかり喋《しゃべ》っていて……ほんにまあ、御病人はどんなでおいでなさいますね、まだおよろしくございませんかよ」
「え、よろしいどころなものですか、今日もお医者から……」と言い半《さ》して、お光は何と思ったか急に辞《ことば》を変えて、「何しろ質《たち》のよくない病気なんですもの」
「質がね? それじゃ御病人も何でしょうが、お光さんが大抵じゃございませんね。そんな中へどうも、こんな御面倒な話を持ち込みましちゃ……」と媼さんは何か思案に晦《く》れる。莨《たばこ》を填《つ》めては吸い填めては吸い、しまいにゴホゴホ咽《む》せ返って苦しんだが、やッと落ち着いたところで、「お光さん、一体今度のお話の……金之助さんとかいうのでしたね? その方はどこに今おいででございますね?」
「え、それは霊岸島の宿屋ですが……こうと、明日は午前《ひるまえ》何だから……阿母さん、明日《あし
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