らない様子でしたから、後で私がそう言って聞かしたことですよ。お前なんぞ年が若いから、もしね、人並みの顔や姿でとんだ自惚《うぬぼ》れでも持って、あの、口なくして玉の輿《こし》なんて草双紙にでもあるようなことを考えてるなら、それこそ大間違い! 妾手掛《めかけてか》けなら知らないこと、この世知辛い世に顔や縹致で女房を貰う者は、唐天竺《からてんじく》にだってありはしない。縹致よりは支度、支度よりは持参、嫁の年よりはまず親の身代を聞こうという代世界《よせかい》だもの、そんな自惚れなんぞ決してお持ちでないって、ねえ、そう言ったことですよ」
「だって、何ぼ今の代世界だって、阿母さんのようにそう一概に言ったものでもありませんよ。随分また縹致や気立てに惚れた縁組も、世間にないとは限りませんもの。阿母さんのように言ってしまった日には、まるで男女《おとこおんな》の情間《じょうあい》なんてものはなさそうですけど、今だって何じゃありませんか、惚れたのはれたのと、欲も得も忘れて一生懸命になる人もあるし、よくそんな話が新聞なぞにも出ているじゃありませんか」とお光は真剣になって弁駁《べんばく》する。
「ええ、それはそ
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