のぞ》いている。
「三吉は今二階だが、何か用かね?」
「なに、そんならいいんですが、またどっかへ遊びにでも出たかと思いまして」と中仕切をあけて、
「火種を一つ貰えませんか?」
「火鉢をお貸し」
 為さんは店の真鍮火鉢《しんちゅうひばち》を押し出して、火種を貰うと、手元へ引きつけてまず一服。中仕切の格子戸はあけたまま、さらにお光に談《はな》しかけるのであった。
「お上さん、親方はどんなあんばいですね?」
「どうもね、快《よ》くないんで困ってしまうわ」
「ああどうも長引いちゃ、お上さんもお寂しいでしょう?」
「寂しいって?」お光は合点の行かぬ顔をして、「なぜね?」
「へへへ、でもお寂しそうに見えますもの……」と胡散《うさん》くさい目をしながら、「何は、金之助さんは四五日見えませんね?」
 お光は黙って顔を眺《なが》めた。
「あの人は何でしょう、前から何も親方と知合いというわけじゃないんでしょう?」
「深い知合いというでもないが、小児《こども》の時学校が一緒とかで、顔は前から知ってるんだって」
「そうですか。私《わッし》ゃまたお上さんがお近しいから、そんな縁引きで今度親方のとこへも来なすった
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