お気に入るでしょう?」とお光は笑いながら言ったが、亭主の前であるからか辞《ことば》使いが妙に改まっている。
「そうですね、私《わっし》にゃ少し過ぎてるかも知れねえて」
「そんなことはないけど、写真で見るよりかもう少し品があって、口数の少ないオットリした、それはいい娘《こ》ですよ」
「そんないい娘が、私のような乱暴者を亭主に持って、辛抱が出来るかしら」
「それは私が引き受ける」と新造が横から引き取って、「一体その娘の死んだ親父《おやじ》というのが恐ろしい道楽者で自分一代にかなりの身上《しんしょう》を奇麗に飲み潰《つぶ》してしまって、後には借金こそなかったが、随分みじめな中をお母《ふくろ》と二人きりで、少《ち》さい時からなかなか苦労をし尽して来たんだからね。並みの懐子《ふところご》とは違って、少しの苦しみや愁《つら》いくらいは驚きゃしないから」
「それもそうだし、第一金さんのとこへ片づいて、辛抱の出来ないようなそんな苦しいことや、愁いことがあろうわけがなさそうに思われるがね。それとも金さん、何かお上さんが辛抱の出来ないようなことを、これからし出来《でか》そうってつもりでもあるのかね?」
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