とのことである。
三七 人生七十力囲希咄。吾が這の宝剣祖仏共に殺す――人生七十 力囲希咄 吾這宝剣 祖仏共殺。「力囲希咄」を「リキイキトツ」と読むのは、元禄《げんろく》十五年出版の、河東散人|鷯巣《りょうそう》が藤村庸軒《ふじむらようけん》の説話を筆録したという「茶話指月集」の読み方によったものである。意味は徳川時代から茶人の間の問題となっていて、諸説紛々。今泉雄作《いまいずみゆうさく》氏の説では、禅の喝《かつ》のような一種の間投詞で、「ええなんじゃいの」といった意味であるとのこと。京都表千家に伝えられている利休の真蹟には「人世」、力※[#「囗<力」、92−14]となっている由である。また「禅林僧室伝」巻三、雲門文偃章下に、雲門偈ニ云ク、咄咄咄力※[#「囗<力」、92−15]希禅子訝ル中眉垂ルとある。英文には、この語句の意味を思わせるところは表われていない。
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底本:「茶の本」岩波文庫、岩波書店
   1929(昭和4)年3月10日第1刷発行
   1961(昭和36)年6月5日第38刷改版発行
   2005(平成17)年11月5日第103刷発行
※(一)〜(三七)は注釈番号です。底本では、直前の文字の右横に、ルビのように付いています。
入力:kompass
校正:鈴木厚司
2008年6月6日作成
2008年8月31日修正
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