に此山第一の奇觀なり。
 櫻井へとて、山を下る。四里にして遠し。山下の茶店に、鹿野山のむかしを慕ふ老翁のこちごと聞きつゝ、一杯の茶に渇を醫して、また徒歩し、なほ一里を剩すと思ふ處より車に乘りて、櫻井に着き、午食を終ふる間もなく汽船に乘る。波いと平らかなり。依々として秀色を送りし山の姿、靈岸島にいたりて、終に全く暮靄の外に消えぬ。[#地から1字上げ](明治三十二年)



底本:「桂月全集 第二卷 紀行一」興文社内桂月全集刊行會
   1922(大正11)年7月9日発行
入力:H.YAM
校正:門田裕志、小林繁雄
2008年8月26日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全3ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
大町 桂月 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング