が十五丈も高き也。ついでに附近の諸岳の高さを記さむに、我立てる白雲岳が第三位にて、七千三百五十七尺、戸村牛岳が七千六十五尺、凌雲岳が七千三十二尺、赤岳が六千八百五十七尺、石狩岳が六千五百七十三尺、黒岳が六千五百四十九尺、忠別岳が六千四百七十七尺、化雲岳が六千三百四十九尺也。
下って御花畑に逍遥せしに、微雨至る。去らむとすれば霽《はれ》る。もとの路を取りて、昨夜野宿せし跡を左に見下し、前に見し北鎮岳を左にし、終に後にして、雲の平を南に下れば、熊ヶ岳崛起して、十町四方の火口を控えたり。風を巌陰に避けて午食し更に南に下れば、大雪山一頓しかけて、旭岳を起す。二峰となりて、東なるは低く、西なるは高し。雪田を踏み、砂礫を攀《よ》じて、二峰の中間に達し、東峰を後にして、西峰を攀ず。砂の斜面急也。五、六歩ごとに立ち留まりて、五つ六つ息をつく。山に登るに急げば、苦しくして、疲れ易く、持久力を失い、風景も目に入らず。さればとて、度々腰を卸《おろ》しては、路あまりに捗らず、疲れ切っては、休息しても、元気を恢復すること難し。疲れぬ前に、ちょっと立ち留まるだけにして、息を大きく吐き、腰を卸さずに、徐々として登
前へ
次へ
全23ページ中17ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
大町 桂月 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング