−竹」の「コ」に代えて「ノ」)、「柿」の正字」、第3水準1−85−57]の臭ひもあるべし。醉へることは、其の顏を見るまでもなく、其の話振にても分りたるが、その管卷くを見れば、根が正直の善人なるべし。春風に※[#「酉+它」、第4水準2−90−34]顏を吹かれながら、櫻花の間に馬を驅るさま、如何にも風流げなれど、客なくてはと憐れ也。
九年畑に至れば、凡そ五六町の間、半開の櫻花、路の兩側に連なる。なほ一列の櫻、右に分れて、方數町の畑を圍む。櫻の外は、長松の林あり。内は麥長じて青し。左も畑なるが、畑の盡くる處、林あり。三里塚の人家の裏も見ゆ。花のトンネルを行き盡して十字街に戻り、一店に就いて、『九年畑の外、櫻の多き處は』と問へば、『西の方五六町、根木名《ねこな》の廐に至れば、櫻多し』といふ。その言に從ひて行く。左に遊園地あり。細長き地に、櫻の若木を植ゑ、ベンチを設け、ブランコを備へたり。花まだ咲かぬ山櫻の老木の列を爲せる路、三四町にして盡き、左折すれば、半開の吉野櫻の列あり。二三町にして右折し、線路を越えて、廐の門を入る。櫻花長く列を爲す。こゝも半開の吉野櫻也。其の奧に廐あり、牧場もあり。群
前へ
次へ
全6ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
大町 桂月 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング