山頂の西の端なる鳥居崎十三州は脚下《あしもと》にして
七 富士筑波箱根日光關東の名山すべて一目にぞ見る
八 大海の彼方に見ゆる烟突の烟ぞ花の都なりける
九 欄干にもたれて見るも面白や東京灣の出船入船
一〇 白鳥の社に落つる涙かな日本武尊《やまとたける》の昔おもへば
一一 その昔暴威ふるひし阿久留王首は討たれて殘る胴坂
一二 神野寺《じんやじ》を南に下る十餘町山腹ゆすり落つる大瀧
一三 幾千代の昔は波も寄せにけむ鹿野の山の崖の貝殼
一四 西|春日《かすが》東白鳥中藥師これぞ鹿野の山の三つ峯
一五 西佐貫東|市宿《いちじゆく》北|草牛《さうぐ》南湊は山の入口
一六 臺ノ畑高く聳ゆる招魂碑面する方は皇城にして
一七 清澄も鋸山も富山《とみさん》も總房の山みな見ゆるなり
一八 鬼どもが敗れて泣きし跡と聞く鹿野つゞきの鬼涙山《きなだやま》哉
一九 盂蘭盆の夜ぞ面白き少女子がサンチヨコ節を歌ひ囃して
二〇 神木に棲みぬる烏數百羽打連れ歸る入相の鐘
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二 神野寺
聞く、深山の平地は、禪を修するに適すとて、弘法大師は高野山を開けりとかや。天下に山は多け
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