物ことごとく活動は止まってしまう。そうなると浦島太郎も夢ではない。真に自由自在の世界となる。
更に進んで突然変異を人工的に起すことによって、すばらしい大飛躍が考えられる。即ち人類は最終戦争後、次第に驚くべき総合的文明に入り、そして遂には、みずから作る突然変異によって、今の人類以上のものが、この世に生まれて来るのである。仏教ではそれを弥勒《みろく》菩薩の時代というのである。
清水氏の空想の如き時代となれば、人類がその闘争本能を戦争に求めることは到底考えることができない。要は質問者の言う如く、世界の政治的統一は決して一挙に行なわれるのではなく、人類の文明は、すべて不断の発展を遂げるのである。しかし文明の発展には時に急湍がある。われらは最終戦争が人類歴史上の最大急湍であることを確認し、今からその突破にあらゆる準備を急がねばならぬ。
第七問 戦争の発達を東洋、特に日本戦史によらず、単に西洋戦史によるのは公正でないと思う。
答 「戦争史大観の由来記」に白状してある通り、私の軍事学に関する知識は極めて狭く、専門的にやや研究したのは、フランス革命を中心とする西洋戦史の一部分に過ぎない(一四四
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